臨床神経学

短報

Fisher症候群の臨床像と治療の現況

伊藤 雅史, 小鷹 昌明, 古賀 道明, 平田 幸一, 結城 伸秦

獨協医科大学神経内科〔〒321-0293 栃木県下都賀郡壬生町北小林880〕

Fisher症候群267例における臨床像を解析した.男女比は3対2で,発症年齢の中央値は42歳,30歳代と50歳代に二峰性のピークをみとめた.上気道炎の先行感染症状が62%でもっとも多く,初発症状は複視が63%,ふらつき歩行が33%,四肢の異常感覚が17%であった.三主徴以外では,眼瞼下垂(42%),内眼筋麻痺(35%),顔面筋麻痺(25%),球麻痺(16%)を経過中にともなっていた.四肢筋力低下を25%にみとめ,感覚障害は52%であった.発症後4週までに髄液蛋白細胞解離は80%にみとめられた.治療の中心は免疫グロブリン大量静注療法(59%)であった.死亡例はみとめず,予後良好な疾患群であることが確かめられた.

(臨床神経, 45:514−517, 2005)
key words:Fisher 症候群, Guillain-Barré 症候群, 免疫グロブリン大量静注療法

(受付日:2004年8月26日)