短報
免疫吸着は無効であったが単純血漿交換が著効した抗MuSK抗体陽性重症筋無力症の1例
鈴木 秀和1）, 本村 政勝2）, 吉村 俊朗3）, 白石 裕一2）, 三井 良之1）, 長谷川 隆典1）, 渥美 正彦4）, 北口 正孝4）, 楠 進1）
1）近畿大学医学部神経内科〔〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2〕
2）長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座（神経内科）〔〒852-8523 長崎県長崎市坂本1-12-4〕
3）長崎大学医学部保健学科〔〒852-8520 長崎県長崎市坂本1-7-1〕
4）馬場記念病院脳神経内科〔〒592-8555 大阪府堺市浜寺船尾町東4-244〕
症例は49歳女性である．日内変動をみとめる緩徐進行性の両側眼瞼下垂で発症した．テンシロンテスト陰性，抗AChR抗体陰性であったが，誘発筋電図waning陽性で重症筋無力症と診断された．約半年の経過で呼吸不全出現し，人工呼吸管理された．抗コリンエステラーゼ薬，ステロイド治療，ガンマグロブリン大量療法，および免疫吸着療法を施行されるも無効であった．当科転院後，抗MuSK抗体が検出され，7回の単純血漿交換にて，人工呼吸器より離脱できた．本患者では，免疫吸着療法は無効であったが，単純血漿交換療法が著効した点が特徴的であり，抗MuSK抗体陽性重症筋無力症の治療戦略を考える上で参考になると考えられた．
(臨床神経, 45：510−513, 2005)
key words：seronegative MG, 抗MuSK抗体, 単純血漿交換
（受付日：2004年6月9日）
