臨床神経学

症例報告

フェノバルビタールによるdrug-induced hypersensitivity syndromeに続発した辺縁系脳炎の1例

伊東 貴雄1), 大石 知瑞子1), 千葉 厚郎1), 作田 学1), 佐久間 恵一2), 塩原 哲夫2)

1)杏林大学医学部神経内科〔〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2〕
2)杏林大学医学部皮膚科

症例はフェノバルビタールを3週間内服後に皮疹・肝障害が出現し,Drug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)と診断された68歳男性である.皮疹出現の3週間後に意識障害・痙攣が出現し,MRIで両側の扁桃体・海馬・海馬傍回・島回にDWI高信号とその一部にADC低下を示す細胞障害性浮腫をみとめた.血清HHV-6抗体価の上昇,血中のHHV-6 DNAの検出よりHHV-6の再活性化が示されたが,髄液ではHHV-6 DNAは検出されなかった.本例の辺縁系脳炎にはHHV-6の直接感染の他,DIHSに関連した自己免疫性機序の関与もうたがわれた.

(臨床神経, 45:495−501, 2005)
key words:フェノバルビタール, 辺縁系脳炎, 細胞障害性浮腫, HHV-6, drug-induced hypersensitivity syndrome

(受付日:2004年6月25日)