臨床神経学

症例報告

皮質性小脳萎縮症の経過中に中枢型睡眠時無呼吸症候群を呈した1例

金 青玉, 野村 拓夫, 越智 博文, 谷脇 孝恭, 古谷 博和, 吉良 潤一

九州大学大学院医学研究院 神経内科〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕

症例は55歳,男性である.48歳時より歩行時のふらつき,言葉のしゃべりにくさが出現し,徐々に増悪した.53歳時に皮質性小脳萎縮症(以下CCA)と診断され,その後タルチレリン水和物(以下TRH)の内服をしながら経過観察をしていたが,睡眠時のいびき,無呼吸を指摘されたため,終夜ポリグラフを施行した.その結果,中枢型優位の睡眠時無呼吸をみとめ,うち中枢型の無呼吸指数は16.6であった.無呼吸は睡眠I,II段階の浅睡眠期に出現していたが,睡眠内容としてレム睡眠は17.7%を占めていた.本症例は多系統萎縮症とことなり,睡眠リズムが保たれた中枢型優位の睡眠時無呼吸を呈した点が特徴的であった.

(臨床神経, 45:490−494, 2005)
key words:皮質性小脳萎縮症, 中枢型睡眠時無呼吸症候群, 終夜ポリグラフ

(受付日:2004年1月19日)