臨床神経学

短報

心筋症を合併した先天性筋線維型不均等症の成人例

藤田 賢吾1), 中野 智1), 山本 博之2), 伊藤 恒1), 伊東 秀文1), 後藤 葉一2), 日下 博文1)

1)関西医科大学神経内科〔〒570-8507 大阪府守口市文園町10-15〕
2)国立循環器病センター心臓血管内科〔〒565-8565 大阪府吹田市藤白台5-7-1〕

症例は成人後に心不全症状と不整脈を生じ,四肢筋力低下をみとめた30歳男性である.生検筋の病理組織化学的検討でtype 1線維がtype 2線維よりも小径であり,かつ数的にも優位であった.また他の先天性ミオパチーでみられる異常構造物がみとめられなかったことから,先天性筋線維型不均等症と診断した.本症は幼少児期の筋力低下を契機として発見されることが多い.本例では四肢体幹の筋力低下が比較的軽度であり,成人後に心筋障害が顕在化したことが特徴であった.

(臨床神経, 45:380−382, 2005)
key words:先天性筋線維型不均等症, 心不全, 先天性ミオパチー, 拡張型心筋症

(受付日:2004年6月17日)