臨床神経学

原著

ニューロパチーにおける転倒

岡 伸幸1), 杉山 博2), 川崎 照晃3), 水谷 江太郎4), 松井 大5)

1)国立病院機構南京都病院 リハビリテーション科〔〒610-0113 京都府城陽市中芦原11〕
2)同 神経内科〔同上〕
3)康生会武田病院 神経脳血管センター〔〒600-8558 京都市下京区東塩小路町841-5〕
4)榊原白鳳病院 神経内科〔〒514-1251 三重県久居市榊原町5630〕
5)京都大学大学院医学研究科 臨床神経学〔〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54〕

ニューロパチー患者においての転倒の実態と危険因子について調査した.発症後6カ月以上経過し,病状が比較的安定した193例を対象とし,月1回以上転倒する転倒群と非転倒群に分け,神経症候や重症度と転倒との関連をしらべた.転倒群患者の頻度は比較的歩行能力を有するばあいがもっとも転倒群の頻度が高かった.神経症候別の解析では深部感覚障害と転倒との間に有意の相関をみとめたが,年齢や一般重症度との相関はみとめなかった.疾患別では,転倒群の割合は軸索性ニューロパチーがもっとも高かった.

(臨床神経, 45:207−210, 2005)
key words:転倒, リスクマネジメント, ニューロパチー, 深部感覚

(受付日:2004年6月11日)