臨床神経学

短報

ブシラミンにより皮膚筋炎様の症状を呈した関節リウマチ

武田 貴裕, 清水 優子, 竹内 恵, 橋本 しをり, 永井 知代子, 内山 真一郎, 岩田 誠

東京女子医科大学 脳神経センター 神経内科〔〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1〕

症例は78歳女性である.60歳頃に関節リウマチ(RA)と診断,66歳の時より加療が開始され,70歳時にブシラミン(Bucillamine,BUC)300 mgを開始した.90カ月後より亜急性に構音障害,嚥下障害,四肢近位筋優位の筋力低下,頸部から腰背部の皮疹が出現した.針筋電図で近位筋の筋原性変化をみとめ,筋生検では,軽度の炎症細胞浸潤とType II線維萎縮があり,皮膚生検では皮膚筋炎に合致する所見をみとめた.BUCにより皮膚筋炎様の病態を誘発したと考え,BUC中止,Prednisolone(PSL)を増量し症状は改善した.BUCによる皮膚筋炎様所見を呈した例は報告がなく,貴重な症例と考えられた.

(臨床神経, 45:45−48, 2005)
key words:ブシラミン, 関節リウマチ, 皮膚筋炎, 嚥下障害

(受付日:2004年4月5日)