臨床神経学

短報

外転神経麻痺にて発症し,海綿静脈洞に病変をみとめたサルコイドーシス

永沢 光, 伊関 千書, 和田 学, 栗田 啓司, 加藤 丈夫

山形大学第三内科〔〒990-9585 山形市飯田西2-2-2〕

右外転神経麻痺にて発症し,組織学的に診断しえた海綿静脈洞神経サルコイドーシスの症例を報告した.サルコイドーシスの脳神経障害としては外転神経麻痺はまれであり,ぶどう膜炎をともなわず,血清ACE,リゾチームも正常と,サルコイドーシスの特徴に乏しかったため,診断に苦慮した.外転神経麻痺にて発症し,確定診断のついた海綿静脈洞部神経サルコイドーシスの報告は本例がはじめてであり,海綿静脈洞症候群の鑑別のためには重要な症例であると思われる.

(臨床神経, 45:38−40, 2005)
key words:海綿静脈洞症候群, サルコイドーシス, 外転神経麻痺, 外眼筋麻痺

(受付日:2004年2月16日)