臨床神経学

短報

三次元的表面投射法(3D-SSP)をもちいた脳血流SPECTが病巣部位の検出に有用であった急性期脳梗塞の1例

玄 富翰1), 森脇 博1), 来 真希子1), 林田 孝平2), 成冨 博章1)

1)国立循環器病センター 内科脳血管部門〔〒565-8565 大阪府吹田市藤白台5-7-1〕
2)同 放射線診療部

症例は66歳両手利きの男性で,冠動脈バイパス術後7日目に突然の失語で発症した.緊急脳血管撮影検査で右前中心動脈の描出不良がみとめられたが,発症30分後の頭部CTでは責任病巣は不明,頭部MRIは胸腔内ワイヤー残存のため施行不可能であった.しかし,代わりにおこなった脳血流SPECTの3D-SSP画像上,右前中心動脈領域に限局性の血流欠損像が明瞭に描出され,責任病巣が確認された.本症例は,MRI施行不可能の急性期脳血管障害において3D-SSPが病巣同定にきわめて有用であることを示した点で貴重と思われる.

(臨床神経, 44:626−629, 2004)
key words:急性期脳梗塞, 冠動脈バイパス術, SPECT, 3D-SSP

(受付日:2003年10月30日)