臨床神経学

症例報告

非ヘルペス性急性辺縁系脳炎急性期にみとめられたCT perfusion画像の異常所見

野中 道夫1), 有吉 直充1), 庄内 孝春2), 柏木 基3), 今井 富裕1), 千葉 進1), 松本 博之1)

1)札幌医科大学神経内科〔〒060-8543 北海道札幌市中央区南3条西16丁目〕
2)同 放射線科
3)五輪橋内科病院神経内科

非ヘルペス性急性辺縁系脳炎(NHALE)において,CT perfusion(CTP)で辺縁系の血流増加をみとめた症例を報告する.症例は42歳女性である.感冒症状にひき続き,けいれん・記憶障害をみとめ意識障害が進行した.搬入時の頭部CTは正常だったが,CTPで両側の海馬と扁桃体に限局した脳血流量の増加と平均通過時間の短縮をみとめた.頭部MRIの拡散強調画像,T2強調画像,FLAIR画像でも同部位に高信号をみとめた.ステロイドパルス療法などに反応して経過は良好だったが,軽度の記憶障害,視床下部性の二次性無月経,嗅覚・味覚障害を残した.CTPは,NHALEの特徴的な病変の局在を早期に確認する上で有用であると考えられた.

(臨床神経, 44:537−540, 2004)
key words:非ヘルペス性急性辺縁系脳炎, CT perfusion, MRI, ステロイドパルス療法, 二次性無月経

(受付日:2003年12月25日)