臨床神経学

原著

日本語版Multiple Sclerosis Quality of Life-54の信頼性の検討

山本 敏之, 尾方 克久, 片岸 美帆, 清水 宏, 小川 雅文, 山村 隆, 川井 充

国立精神・神経センター武蔵病院神経内科〔〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1〕
同 神経研究所免疫研究部

多発性硬化症(MS)患者の生活の質(QOL)の評価を目的に,日本語版MSQOL-54(MSQOL-54J)を作成した.日本人のMS患者62人に記名自己記入調査を実施し,MSQOL-54Jの各尺度の回答率,内的整合性,再現性,最終評価得点を評価し,妥当であることを示した.SF-36と共通の質問で構成される尺度は,MS患者ではすべてにおいて日本人の国民標準値より低下していた.総合障害度(EDSS)とMSQOL-54Jの身体機能に関する尺度は有意に逆相関したが,他の尺度は相関が低かった.MSに特異的なMSQOL-54Jは,MS患者の自覚的なQOL評価尺度として有用であると考えた.

(臨床神経, 44:417−421, 2004)
key words:多発性硬化症, 日本語版MSQOL-54, 生活の質, SF-36, EDSS

(受付日:2004年2月5日)