臨床神経学

症例報告

T2強調gradient-echo MRIにて線条体が低信号を呈した高血糖にともなうhemichoreaの1例

周藤 豊1)2), 森 昌忠1), 鍵本 比呂志1), 斎藤 潤1)

1)島根県立中央病院神経内科〔〒693-8555 島根県出雲市姫原4-1-1〕
2)現 鳥取大学医学部脳神経内科〔〒683-8504 鳥取県米子市西町36-1〕

T2強調gradient-echo MRIで線条体に低信号病変をみとめた高血糖にともなうhemichoreaの1例を報告した.症例は76歳女性であり,左上下肢のchoreaにて入院した.糖尿病のコントロールは不良で,発症時血糖232 mg/dl,HbA1c 13.9%であった.神経学的に,左上下肢を振り回したり屈伸させる不随意運動をみとめ,睡眠中以外は持続していた.MRIでは右線条体にT1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号,T2強調gradient-echo MRIで徐々に増強する低信号をみとめた.本症例ではMRI画像の成因として線条体の虚血性病変における遅発性の出血が関与する可能性が示唆された.

(臨床神経, 44:86−90, 2004)
key words:chorea, ballism, 高血糖, T2強調gradient-echo MRI, 点状出血

(受付日:2003年5月6日)