臨床神経学

短報

Dropped head plus syndromeの1例

森野 浩太郎1), 喜多 也寸志1), 米田 行宏1), 田渕 正康1), 西野 一三2), 埜中 征哉2)

1)兵庫県立姫路循環器病センター神経内科
2)国立精神・神経センター神経研究所

首下がり症状のみで発症し,約8カ月後に亜急性に全身の筋力低下が加わり,筋病理学的に非特異的ミオパチーで,免疫抑制剤が奏効した,いわゆる“dropped head plus syndrome”と考えられる症例を報告した.針筋電図では,僧帽筋に筋原性の所見がえられ,僧帽筋筋生検では炎症所見に乏しい非特異的ミオパチーの像がみとめられたが,特殊染色や電顕においても特定できる筋疾患はなかった.ステロイド剤投与では,効果不十分のため,azathioprineへ変更したのち,四肢・頸部筋力は正常化した.本例は臨床病理学的にdropped head plus syndromeに合致し,本邦第1例目の症例である.

(臨床神経, 43:556−559, 2003)
key words:首下がり, 筋疾患, dropped head syndrome, 免疫抑制剤

(受付日:2003年2月14日)