臨床神経学

原著

パーキンソン病における心臓自律神経障害―123I-MIBGシンチグラフィーとValsalva試験による自律神経機能評価の対比―

岡 尚省1), 吉岡 雅之1), 森田 昌代1), 持尾 聰一郎2), 井上 聖啓3)

1)東京慈恵会医科大学附属青戸病院神経内科〔〒125-8506 東京都葛飾区青戸6-41-2〕
2)東京慈恵会医科大学附属第三病院神経内科〔〒201-8601 東京都狛江市和泉本町4-11-1〕
3)東京慈恵会医科大学神経内科〔〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8〕

パーキンソン病(PD)患者において123I-MIBGシンチグラフィーが臨床的に心臓交感神経機能を反映するか否かを検討した.PDの123I-MIBGシンチグラフィーの早期像H/M比および後期像H/M比はValsalva試験をもちいた圧受容器反射機能や血管運動神経機能評価とは関連がなかった.しかし,心電図QTc時間およびIV相血圧上昇と相関しており,心臓自律神経,とくに心臓交感神経障害と関連していた.また,PDではIV相血圧上昇が20 mmHg以上の正常反応を示す例であっても123I-MIBGシンチグラフィーの早期像および後期像H/M比が有意に小さく,臨床的に自律神経障害のないPDにおいても潜在的に心臓交感神経機能障害が生じている可能性が示唆された.

(臨床神経, 43:465−469, 2003)
key words:パーキンソン病, 心臓交感神経機能障害, 123I-MIBGシンチグラフィー, Valsalva試験, 圧受容器反射機能

(受付日:2003年3月24日)