臨床神経学

原著

パーキンソン病の重症度と発汗機能障害―エバポリメーターをもちいた検討―

吉岡 雅之1), 岡 尚省1), 森田 昌代1), 井上 聖啓2)

1)東京慈恵会医科大学附属青戸病院神経内科〔〒125-8506 東京都葛飾区青戸6-41-2〕
2)東京慈恵会医科大学附属病院神経内科〔〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8〕

パーキンソン病(PD)患者20例と,年齢を対応させた対照者10例の安静時の定常状態での基礎発汗について,エバポリメーターをもちいて局所発汗量を定量的に測定した.前額,上腕,手背,前胸,大腿,足背で対照群は右側,PD群は運動症状優位側で比較検討した.PD群では対照群と比較し,手背と足背で発汗機能が有意に低下していた.重症度別による比較ではYahr stage I,II群は対照群と比較し,手背で有意に低下,Yahr stage III,IV群は手背,足背で有意に低下しYahr stage I,II群と比較しても足背で低下していた.PD患者の発汗機能障害はPD重症度の進行にともない進行し,四肢遠位側の発汗機能がより低下していることが明らかとなった.

(臨床神経, 43:379−384, 2003)
key words:パーキンソン病, 自律神経機能障害, 発汗機能障害, 発汗量, エバポリメーター

(受付日:2002年11月8日)