臨床神経学

短報

エコーウイルス13型によるウイルス性髄膜炎成人症例の臨床的検討―福井県における流行から―

筒井 広美1), 濱野 忠則1), 東方 美保2), 中村 雅子2), 林 浩嗣1), 山村 修1), 中川 広人1), 藤山 二郎1), 米田 誠1), 栗山 勝1)

1)福井医科大学第二内科〔〒910-1193 福井県吉田郡松岡町下合月23号3番地〕
2)福井県衛生環境研究センター保健科学部細菌・ウイルス研究グループ

2002年4月〜9月の期間に福井県下で発症した無菌性髄膜炎11例中,エコーウイルス13型(echovirus type 13:E13)を分離した成人8例(73%)の臨床的検討を行った.8例の平均年齢は27.4±6.4歳(男4例,女4例)であった.症状は頭痛8例(100%),発熱8例(100%),嘔気・嘔吐7例(88%),Kernig徴候8例(88%),深部腱反射亢進4例(50%)で,経過は良好であった.髄液細胞数は平均118±111/mm3で,病初期に多核球優位の症例をみとめた.2002年はE13による髄膜炎が小児例を中心に全国的に流行した.今後,E13による髄膜炎の成人発症の可能性を考慮する必要があると考えられた.

(臨床神経, 43:363−365, 2003)
key words:エコーウイルス13型, ウイルス性髄膜炎, 成人発症, 流行

(受付日:2003年2月9日)