臨床神経学

症例報告

Pilocytic astrocytomaを合併し間脳症候群を呈した神経線維腫症1型成人例

甲平 一郎1), 吉村 好和2), 二宮 庸太郎1), 池田 幸明2), 岩田 淳3)

1)高知県立中央病院神経内科〔〒780-0821 高知市桜井町2-7-33〕
2)同 脳神経外科
3)同 病理

症例は30歳の女性である.小児期に神経線維腫症1型(NF-1)と診断されていた.るいそうと傾眠を呈し,造影MRIで視交叉・視床下部を主座とする腫瘍がみられ,視床・脳幹・小脳に浸潤していた.視交叉部腫瘍生検の組織診断はpilocytic astrocytomaであった.放射線照射をおこなうも効果なく全経過22カ月で死亡した.成人のNF-1に合併するpilocytic astrocytomaにより間脳症候群を呈したことはまれであるので報告した.

(臨床神経, 43:327−329, 2003)
key words:神経線維腫症1型, レックリングハウゼン病, pilocytic astrocytoma, 間脳症候群, 成人

(受付日:2002年11月13日)