臨床神経学

症例報告

長期経過ののち多数のlobulated fibersをみとめた皮膚筋炎の1例

小野寺 直樹1), 宮本 和人1), 松原 四郎1), 林 秀明1), 南 成祐2), 西野 一三3)

1)都立神経病院神経内科〔〒183-0042 東京都府中市武蔵台2-6-1〕
2)国立精神神経センター武蔵病院DNA診断治療室
3)国立精神神経センター神経研究所疾病研究第一部

初回の筋生検から18年後の再生検ではじめて多数のlobulated fibers(LBS)をみとめた皮膚筋炎の1例を報告する.患者は29歳時に四肢近位筋筋力低下にて発症し,臨床症状,筋生検所見から皮膚筋炎と診断した.ステロイドが奏功したが,慢性緩徐に症状は進行した.47歳より下肢筋力低下が増強し,再生検したところ,多数のLBSをみとめた.肢帯型を主とする筋ジストロフィーに関連した免疫染色に異常はなく,Western blot法によるcalpain 3欠損はなかった.LBSは肢帯型筋ジストロフィー2A型等で報告されているが,他のミオパチーでも長期経過中に非特異的に発症すると考えられる.

(臨床神経, 43:270−273, 2003)
key words:lobulated fibers, 皮膚筋炎, 慢性進行性, 原発性胆汁性肝硬変

(受付日:2003年2月7日)