臨床神経学

症例報告

反復性の横紋筋融解症を呈した極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症の1成人例

浜野 均1), 篠原 幸人2), 瀧澤 俊也2), 徳岡 健太郎2), 風張 昌司1), 政所 広行1), 佐藤 晶1)

1)東日本循環器病院・脳神経センター神経内科〔〒243-0433 神奈川県海老名市河原口1519〕
2)東海大学医学部神経内科

18歳頃より運動,過労を契機に筋肉痛,筋力低下をくりかえし,29歳時に反復性の横紋筋融解症と診断された男性症例を経験した.30歳時に極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症のmuscular formと診断しえた.本症の報告例の多くは小児科領域からのもので成人例の報告は少ない.muscular formの際は横紋筋融解症等の筋症候のみを呈し,かつ18歳以上での成人発症例も欧米には散見される.反復性の横紋筋融解症を来たす疾患のひとつとして,小児科領域以外の内科あるいは神経内科領域でも念頭に置くべき疾患と考え報告する.

(臨床神経, 43:253−257, 2003)
key words:極長鎖アシルCoA脱水素酵素, 成人発症, 横紋筋融解症, ミオグロブリン尿症

(受付日:2002年12月2日)