臨床神経学

短報

Focal laryngeal dystoniaによる呼吸困難発作をくりかえしたParkinson病の1例

尾上 祐行, 雪竹 基弘, 黒原 和博, 高島 洋, 黒田 康夫

佐賀医科大学内科神経内科部門〔〒849-0937 佐賀市鍋島5丁目1-1〕

wearing-off現象をともなう69歳女性の重症パーキンソン病患者が,4カ月前から呼吸困難発作をくりかえして入院した.発作は吸気性喘鳴とチアノーゼから成り,主にoff時におき,30分以内に自然に消失した.喉頭ファイバースコピーで器質的原因がなく,パーキンソン病にともなうfocal laryngeal dystoniaと診断した.24時間SpO2モニターで発作性の無自覚性呼吸機能障害がoff時以外でも頻発していることが判明し,気管切開と薬物の変更により発作は消失した.24時間SpO2モニターが発作回数と治療効果の判定に有用であった.

(臨床神経, 43:192−194, 2003)
key words:パーキンソン病, 呼吸困難, 声帯開大障害, focal laryngeal dystonia, 24時間SpO2モニター

(受付日:2003年1月14日)