原著
筋萎縮性側索硬化症患者の摂食・嚥下障害―嚥下造影と呼吸機能の経時的変化の検討―
野崎 園子, 国富 厚宏, 斉藤 利雄, 松村 剛, 神野 進
国立療養所刀根山病院神経内科〔〒560-8552 豊中市刀根山5-1-1〕
筋萎縮性側索硬化症（ALS）患者11名において，嚥下造影（VF）の所見，臨床的嚥下機能重症度（ALS Functional Rating Scaleの嚥下機能：FRSsw），呼吸機能（％FVC）の経過について検討した．VF所見では，経過において口腔期障害が咽頭期障害より先行する例と，咽頭期障害が先行する症例，同程度に進行する例がみとめられた．VF所見とFRSswには一定の関連は乏しく，とくに誤嚥はFRSsw 4や3の時期でもみられた．個々の症例において，％FVCの低下にともないFRSswの悪化がみられた．ALS患者の嚥下障害は呼吸不全と並行して進行する傾向があり，病初期からの対策が必要と考えられた．
(臨床神経, 43：77−83, 2003)
key words：筋萎縮性側索硬化症, 摂食・嚥下障害, 嚥下造影, ALS Functional Rating Scale, 呼吸不全
（受付日：2002年5月22日）
