臨床神経学

短報

抗sulfatide抗体陽性のA型肝炎関連性Guillain-Barré症候群の1例

小原 大治, 長根 百合子, 槍沢 公明, 近藤 竜史, 東儀 英夫

岩手医科大学神経内科〔〒020-8505岩手県盛岡市内丸19-1〕

急性A型肝炎にともないGuillain-Barré症候群(GBS)を発症し,抗糖脂質抗体のうち抗sulfatide IgM抗体のみが陽性であった1例を報告した.症例は59歳の男性である.急性A型肝炎発症の4日後から四肢の全感覚鈍麻,筋力低下,左末梢性顔面神経麻痺,嗄声が進行した.免疫グロブリン静注療法により,神経症状は軽度の深部感覚障害を残し改善,抗sulfatide抗体も陰性化した.本例では抗sulfatide抗体がGBSの病態に関連し出現した可能性がある.A型肝炎関連性GBSの抗糖脂質抗体の検討は少なく,貴重な症例と考えられた.

(臨床神経, 43:38−40, 2003)
key words:Guillain-Barré症候群, 急性A型肝炎, 抗sulfatide抗体

(受付日:2002年10月7日)