臨床神経学

症例報告

Pseudomigraine with pleocytosisの1例

塚本 哲朗1)2), 宮澤 康一1)3), 成川 孝一1)3), 入野 樹美1)4)

1)いわき市立総合磐城共立病院神経内科〔〒973-8555 いわき市内郷御厩町久世原16〕
2)現 復康会牛臥病院神経内科〔〒410-0813 沼津市上香貫蔓陀が原2510-22〕
3)現 東北大学医学部神経内科〔〒980-0872 仙台市青葉区星陵町1-1〕
4)現 千葉県がんセンター生化学部〔〒260-8717 千葉市中央区仁戸名町666-2〕

片頭痛発作に髄液細胞増多を示すことは通常はない.症例は20歳の女性である.2001年2月13日より左側頭部に拍動性頭痛が出現した.15日相手のいうことが理解できない,発語もできないという失語症状と右半身脱力をきたし入院した.髄液検査でリンパ球優位の細胞増多56/μlをみとめた.MRI,MRAにて異常はなかったが,123I-IMP SPECTにて左側の前頭,側頭,頭頂葉に脳血流の増加がみられた.12月10日夜ふたたび頭痛と失語症状,脱力をきたし翌朝入院した.体温37.9℃.傾眠傾向にあったが同日夕方回復した.髄液圧230mmH2Oであり,細胞数17/μlと増多をみとめた.片頭痛様の強い頭痛に神経症状をともない,髄液細胞増多を示すpseudomigraine with pleocytosisとして報告されているものと合致する症例と考えられた.

(臨床神経, 43:12−15, 2003)
key words:pseudomigraine with pleocytosis, migraine, aphasia, right hemiplegia, cerebrospinal fluid

(受付日:2002年8月20日)