臨床神経学

短報

クエン酸タンドスピロンの単独内服後に生じたセロトニン症候群

田村 直俊1)2), 中里 良彦1), 山元 敏正1), 岩崎 慎一1)3), 島津 邦男1)

1)埼玉医科大学神経内科〔〒350-0495 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38〕
2)同 短期大学
3)城西大学大学院薬学研究科〔〒350-0248 埼玉県坂戸市けやき台1-1〕

症例は42歳の女性である.心身症と診断され,クエン酸タンドスピロン30mg/日の内服を開始した.約3週後から,せん妄状態・筋強剛・発熱・発汗過多・全身のミオクローヌスがつぎつぎと出現した.上記の全症状は薬物中止後,急速に消失し,セロトニン症候群と診断された.本症候群がタンドスピロンの単独投与で生じたことが確実な報告は,過去にみられない.

(臨床神経, 42:892−894, 2002)
key words:クエン酸タンドスピロン, セロトニン症候群, ミオクローヌス, 悪性症候群, アルコール離脱症候群

(受付日:2002年8月13日)