臨床神経学

症例報告

脳梗塞を合併したTurner症候群の1例

寺崎 修司, 橋本 洋一郎, 宮下 史生, 幸崎 弥之助, 永沼 雅基, 内野 誠1), 間部 裕代2)

熊本市立熊本市民病院脳卒中診療科・神経内科
1)熊本大学医学部神経内科
2)同 発達小児科

症例は21歳の女性である.Turner症候群で15歳まで成長ホルモン補充療法を施行されていた.2001年3月26日起床時より右上下肢の脱力を自覚し,同日午前入院した.入院時,意識清明,皮質症候なく,右不全片麻痺(4+/5)と右半身の感覚低下をみとめた.抗血栓療法加療開始後も右片麻痺は進行(上下肢ともに3-/5).頭部MRIで左内包後脚から被殻にT2強調画像,拡散強調画像(DWI)で高信号の直径1.5cmの梗塞巣をみとめた.凝固能,抗カルジオリピンほかあきらかな危険因子をみとめなかった.Turner症候群と脳梗塞発症との関連が推定された.

(臨床神経, 42:145−148, 2002)
key words:Turner症候群, 若年性脳梗塞, 脳梗塞, ラクナ梗塞

(受付日:2001年10月19日)