臨床神経学

短報

新しいSPECT解析システムeZISにより両側海馬の脳血流低下を認めた一過性全健忘の1例

大塚 康史1), 土川 聡1), 三竹 愛子1), 高橋 典三1), 河野 親夫1)

1)土岐市立総合病院 神経内科〔〒509-5193 岐阜県土岐市土岐津町土岐口703番地24〕

一過性全健忘の症例に対して発症急性期と慢性期にSPECTを検査したので報告した.通常の検査では明らかな異常を検出することは困難であったが,新しい画像解析システムであるeasy Z-score Imaging System(eZIS)をもちいることにより急性期において明瞭な両側海馬領域の血流低下を検出することができた.また臨床的には明らかではなかったが,既報告と同様に後大脳動脈領域をふくむ椎骨脳底動脈領域の広範な脳血流障害が潜在することが示唆された.

(臨床神経, 42:977−979, 2002)
key words:一過性全健忘, SPECT, 海馬, 脳虚血

(受付日:2002年10月2日)