臨床神経学

原著

脳梗塞急性期における呼吸器感染症合併の検討

中島 誠1)2), 渡邊(原) 理香1)3), 稲富 雄一郎1), 橋本 洋一郎2), 内野 誠3)

1)済生会熊本病院脳卒中センター〔〒861-4193 熊本市近見5丁目3番1号〕
2)熊本市立熊本市民病院神経内科
3)熊本大学医学部神経内科

脳梗塞急性期患者における呼吸器感染症合併群と非合併群の患者について背景,感染症合併の危険因子および転帰を検討した.発症1週間以内に入院した脳梗塞患者連続258例(男性158例,女性100例,70.6±12.9歳)を対象とした.45例(17.4%)に呼吸器感染症がみられた.感染症合併例の病型は,心原性脳塞栓症が67%を占めた.合併の独立した危険因子は入院中の誤嚥事故(OR 5.513)と入院時NIHSS score(OR 1.090)であった.また呼吸器感染症は転帰不良の独立した危険因子であった(OR 5.838).今後脳梗塞重症例に対する感染症対策および誤嚥予防について方策を講じる必要がある.

(臨床神経, 42:917−921, 2002)
key words:脳梗塞, 呼吸器感染症, 誤嚥, 転帰, 在院日数

(受付日:2002年8月19日)